幸せ

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握った更紗の手には体温がない。 冷たい、死人のようだ。 「更紗…死ぬな……」 更紗の口に当てられた呼吸器。 それが唯一命を繋いでいる。 「…ょ……ぅ…」 意識の無いなか、更紗は俺の名を呼ぶ。 いきなり現実を突き付けられたような気がした。 いつだって更紗の声が俺の合図になる。 「更紗っ……頼むから…死なないでくれ…」 深くうなだれる。 まだ何も言ってない。 何も伝えてない。 何も―――― 「嫌だ…更紗……」 死ぬな。 死ぬな。 俺の隣から消えて逝くな。 代わってやりたい。 更紗をこの辛さから解放してやりたい。 守りたい。 「更紗…俺はお前を守りたい…」
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