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更紗の事は、秘密にしておくことになった。
長い長い卒業式が続く。
校長の話も、先生の話もいつも以上につまらない。
早く、更紗のそばに行きたい。
「洋…大丈夫?顔色が悪いよ?」
由美が心配そうに言ってくる。
俺は大丈夫と言って、教室を出た。
一瞬。
昨日の事がフラッシュバックする。
―――泣いている更紗
『私が死んだらどうする?』
―――夕日のさす教室
『本当の更紗を知らないだけだ』
―――バッグを持った俺
『俺、先に帰るな』
そうだ。
俺が一緒に帰っていれば、更紗は―――。
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