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更紗の両親から渡されたのは、いつもあいつが首から下げていた水晶。 握れば、冷たい。 それは最期の更紗の唇を思い出させる。 「洋、大丈夫か?」 「何がだ?」 正紀が尋ねてくるが、あまり興味が湧かない。 俺の精神はそれほど限界と言うことか。 自分でも、自覚してる。 本当は更紗の後を追いたいと思っている。 それでも辛いのは俺だけじゃないってもの、分かってる。 現に、由美もかなり参ってる。 正紀だって、辛くないわけない。きっと俺がこんなんだから、どうしようもないのだろう。 俺は手のひらに握られているものを見る。 桜の、ネックレス。 本当だったら、既に更紗の物になっているはずだったのに。 「どうして…」 神様は残酷だ。 俺達の大切なモノを奪って。 大事なモノを灰にして。 俺の太陽を、消したんだ。 光りを消したんだ。 生きていけるのか。 光りを失った世界で俺は。 手探りで、この先の一生を生きていくのか。
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