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「洋…更紗ちゃんのお友達が来てるわよ」
春休みも終わる頃、更紗の友人が俺の家に訪ねて来た。
なぜ俺の家に?
「だって、更紗の家に行ったら洋君の方に行けって」
そう言って12人の女子が、俺に封筒を渡した。
結構な量だ。
「これ…更紗に宛てた手紙なの。洋君だったら更紗も夢枕に立ってくれるかなって」
夢枕って…おい。
俺は霊能者でも何でもない。
それなのに。
確かに、更紗の夢はよく見るけど。
「それにね、更紗のご両親も洋君の事認めてるみたいだし」
「認める…って何をだ?」
「だから、更紗の旦那さんに」
思わず、大量の手紙を落とすところだった。
いや。
それよりも、旦那って…
「更紗は幸福者だって。こんなに思われて逝けるなんて。更紗のお父さん言ってたよ。もし娘が生きていたら洋君に嫁にあげたかったって」
「………そうか」
更紗が生きていたら。
そう考えるのは止そうと思っていたのに。
女子を送り出した後、部屋に戻った俺はみんなの手紙を開いた。
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