10年

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記憶にない母の話をされても 結那には困る話だ。         亜樹のお母さんは 私の娘、真弥に挨拶を していた。     「紗弥ちゃん…」   「はい?」     墓石を見ながら 亜樹のお母さんは言った。       「私…… 亜樹の日記を やっと…     全部読んだのよ」   「…」   「10年…   10年かかっちゃった…」       少し涙ぐんだ目は やっと 亜樹の死を受け入れ 乗り越えたような感じだった。     「結那を妊娠してから この世を去る前日までの 3年分の日記……」   「…」     なんて声をかけていいのか 分からない。
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