10年

7/10
144人が本棚に入れています
本棚に追加
/664ページ
  「結那を見ている今は…   …あの子の 力になれているかしら…?」     弱々しい亜樹のお母さんの言葉に 結那は不安になり 亜樹のお母さんに しがみついた。     「…」     どんな言葉も   亜樹のお母さんを 救う言葉には、ならない。     「…結那?覚えてる?」     結那と目が合い 私は尋ねた。   首を振る結那。     それは、そうだ。 私と会っているのは 結那が1歳の頃だ。     「結那のお母さんと結那と 私とこの子、真弥と 青い空を見たんだよ」   「…青い空…?」   「…何それ?」     私の中に 今も残る 雲一つない真っ青な空。     「結那のお母さんは 空が好きだったんだよ」
/664ページ

最初のコメントを投稿しよう!