0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
いろんな想いが重なり合うこの世界。正直、ワタシは重いと思うんだ。何故ここにいて、疲れないのかしら?騙しあっては裏切る。それに疲れた者は、自ら命を絶つ。何が楽しいの?そして、皆ここで汚れていくの。でも、大丈夫!ワタシがこんな世界をぶっこわしてあげる!ワタシ、正義のヒロインだから♪そうすれば、教授も………。
Robot1―夢から覚めた少年―
「んん…。」
ここは家の中。少年が、モゾモゾとベッドから、マヌケ顔を覗かせた。起き上がりカーテンを開く。少年の格好は、青いたてじまのすそが短いパジャマ。部屋の周りは漫画が散乱している。
「今度は、夢の中かよ。」
けげんそうに、少年は頭をかきながらこういう。
「もういいよ…。人の頭ン中は」
この言葉をきいて、理解できる者はほとんどいないだろう。彼は、人の心の中が見えることがある。1番最初にそうわかったきっかけは、母の説教だった。母が言葉をいうまえに、頭の中にその言葉が入ってくるのだ。その日から、いつどこでだか分からないが、いろんな人の思いが頭の中に入って来る。
―ぶっこわす?この世界を…?
着替えながら、さっきの夢を思いだす。あの子は、ここは疲れるといっていた。
―あんな風に思ってる人がいるんだ。一体誰なんだろう…。
「バカ兄貴―!遅刻するよ!あとカワイイ真希(まき)ちゃんが下にいるよ♪」
ハッとすると、妹の声が聞こえてきた。
「う、うっせー!春奈(はるな)は黙れ!!」
少年は、顔の色をピンクに染めて怒っていた。鞄を持ちながら、ドタドタと階段をかけおりて急いで玄関に向かう。
「はよー!」
真希と言われた少女が言葉を返す。
「おはよう、敬太(けいた)。」
その言葉が、少年……いや、敬太の顔を真っ赤にさせる。
「じ、じゃあ行こっか。あっ、待たせてごめん!」
「気にしないで。」
二人は歩きだした。そんな普通な出来事も、敬太は幸せに思えた。この時間がずっと続けばいいのに……。でもその夢は、続かなかった……。
最初のコメントを投稿しよう!