Machine257

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いろんな想いが重なり合うこの世界。正直、ワタシは重いと思うんだ。何故ここにいて、疲れないのかしら?騙しあっては裏切る。それに疲れた者は、自ら命を絶つ。何が楽しいの?そして、皆ここで汚れていくの。でも、大丈夫!ワタシがこんな世界をぶっこわしてあげる!ワタシ、正義のヒロインだから♪そうすれば、教授も………。 Robot1―夢から覚めた少年―   「んん…。」 ここは家の中。少年が、モゾモゾとベッドから、マヌケ顔を覗かせた。起き上がりカーテンを開く。少年の格好は、青いたてじまのすそが短いパジャマ。部屋の周りは漫画が散乱している。 「今度は、夢の中かよ。」 けげんそうに、少年は頭をかきながらこういう。 「もういいよ…。人の頭ン中は」 この言葉をきいて、理解できる者はほとんどいないだろう。彼は、人の心の中が見えることがある。1番最初にそうわかったきっかけは、母の説教だった。母が言葉をいうまえに、頭の中にその言葉が入ってくるのだ。その日から、いつどこでだか分からないが、いろんな人の思いが頭の中に入って来る。 ―ぶっこわす?この世界を…? 着替えながら、さっきの夢を思いだす。あの子は、ここは疲れるといっていた。 ―あんな風に思ってる人がいるんだ。一体誰なんだろう…。 「バカ兄貴―!遅刻するよ!あとカワイイ真希(まき)ちゃんが下にいるよ♪」 ハッとすると、妹の声が聞こえてきた。 「う、うっせー!春奈(はるな)は黙れ!!」 少年は、顔の色をピンクに染めて怒っていた。鞄を持ちながら、ドタドタと階段をかけおりて急いで玄関に向かう。 「はよー!」 真希と言われた少女が言葉を返す。 「おはよう、敬太(けいた)。」 その言葉が、少年……いや、敬太の顔を真っ赤にさせる。 「じ、じゃあ行こっか。あっ、待たせてごめん!」 「気にしないで。」 二人は歩きだした。そんな普通な出来事も、敬太は幸せに思えた。この時間がずっと続けばいいのに……。でもその夢は、続かなかった……。
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