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店の外に出た恭介は周りを見渡す。すると店の先にある自販機の前で恵梨が待っていた。
恭介はそれを見ると恵梨の方に歩き出す。
冷たい風が吹く。季節は真冬。恵梨は缶コーヒーを両手で包み肩を震わせていた。
店の中では巻いていなかった黒いマフラーが口元を隠している。
「ごめん恵梨。待った?」
「ううん。全然待ってないよ」
恵梨はそう言うものの既に30分は経過している。真冬の夜空の下で30分も待っていた恵梨の頬は真っ赤だった。
「寒かったろ?」
「そんなことないよ」
恵梨は笑ってみせる。
「嘘つけ……ほら、身体冷てえじゃねえか」
恭介は恵梨を抱きしめる。
「うん、ホントはちょっと寒かったかな?」
暖かい、そう言って恵梨は恭介に身体を預ける。
「ありがとな、恵梨のおかげで店長に褒められてたんだ」
「そうなんだぁ、よかったね!」
「あぁ、それじゃどっか行くか」
「うん!」
二人は身を寄せ合い夜の街へと消えて行った。
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