453人が本棚に入れています
本棚に追加
「クソが!」
骨を砕く様な音が辺りに響く。
血まみれの、白いシャツ、黒のデニムを身に纏った彼は涙を流し、既に気を失っている男を傷だらけの拳で殴っていた。
「なんで!なんで死んだんだよ!」
倒れた男達を蹴りまくる。
「っ!……はぁはぁ。ちきしょうがぁ!」
乱れた息を気にせず、思い切りコンクリートの壁を殴る。
コンクリートは脆い音を立てて崩れた。
彼は、コンクリートに埋まった拳を引き抜くと倒れた大型のバイクを起こし、跨がった。
鍵を回しエンジンをつける。凄まじい轟音が幾度と耳に響く。
アクセルを回すとバイクは走り去った。
彼は霧山 恭介(きりやま きょうすけ)。今年、18歳になり、高校三年生を迎えたのだが、ある事情で中退。
裏の世界で、彼、霧山恭介を知らぬ者はいない。かつて日本一を誇る暴走族の族長だったのだから。
最初のコメントを投稿しよう!