プロローグ

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「クソが!」  骨を砕く様な音が辺りに響く。  血まみれの、白いシャツ、黒のデニムを身に纏った彼は涙を流し、既に気を失っている男を傷だらけの拳で殴っていた。 「なんで!なんで死んだんだよ!」  倒れた男達を蹴りまくる。 「っ!……はぁはぁ。ちきしょうがぁ!」  乱れた息を気にせず、思い切りコンクリートの壁を殴る。  コンクリートは脆い音を立てて崩れた。  彼は、コンクリートに埋まった拳を引き抜くと倒れた大型のバイクを起こし、跨がった。  鍵を回しエンジンをつける。凄まじい轟音が幾度と耳に響く。  アクセルを回すとバイクは走り去った。  彼は霧山 恭介(きりやま きょうすけ)。今年、18歳になり、高校三年生を迎えたのだが、ある事情で中退。  裏の世界で、彼、霧山恭介を知らぬ者はいない。かつて日本一を誇る暴走族の族長だったのだから。
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