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恭介の頭の中に執事という言葉が駆け巡る。
(執事……執事。あのオッサンがやる様なやつだよな。羊……じゃあねえよな、俺にわざわざ羊をやれなんて皐月さんが言うわけねえし)
恭介が混乱する姿を見て皐月はクスクスと笑う。
「契約金は一億。月給は一千万で、貴方の妹は成人するまでの費用、学校や私的欲望も全てサポートするわ。どうかしら?」
「いや、どうもこうも頭が混乱して……一億ってどのくらいだっけ?」
「一千万の十倍よ」
「一千万の十倍……それだけで一生暮らせるじゃねえか!」
恭介は迷っていた。いや、既に答えは決まっていたがどうも話がうますぎる。と、自分のうたぐり深い思考が邪魔して答えを出せない。
大体、何故自分なのかわからなかった。自分より優秀な者はいくらでもいる。
喧嘩だけは負けない自信はあるが執事とやらに喧嘩なんて必要ないだろう。
皐月は恭介が悩んでいるのを見て、内容を話し出す。
「恭介君が執事をするとしての前提で話すわ。恭介君に面倒を見てもらうのは私の娘の一人。まだ14歳なんだけど今、とても伸び悩んでいるの。どう?助けてくれないかしら私の娘を……」
恭介は、それを聞いてから話を更に詳しく聞き出した。
まず第一に疑問なのは真理と離れ離れになるかという事である。
しかし、それは問題なかった。住む所はあちらが手配してくれるらしい。皐月さんの家の近場らしいから自宅通勤が可能だということだ。
そうなれば真理の学校が関わってくる。転校はいいが、真理の中学はとても優秀な中学校である。
真理が苦労して入ったのだから転校するとしてもそれなりの所にしてほしい。
それも問題は無かった。
そうなると後は断る理由はない。
「そろそろ決めて貰えるかしら恭介君。寒いから早くして欲しいのだけど……」
「俺が執事ねえ……おもしれえ、やってやろ「はい決定!」
(ちょ……俺の決め台詞)
「じゃ、明日迎えの者を出すから夕方には妹さんと家に居て頂戴。じゃあねー」
それだけ言うと皐月は颯爽と去って行った。
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