453人が本棚に入れています
本棚に追加
約束の夕方まで約6時間。恭介は自分の仕事場であるホストクラブにただ、辞めると告げ、真理の学校へと向かった。
学校に着いた恭介は家庭の用事という事で真理を早退させた。
真理に当たり障りない程度に事情を説明する。
笑顔で納得してくれた真理に安心しながら日が暮れるのを二人で待った。
ふと、二人でうとうとしているとコンコンと木製の扉を叩く音がした。
「龍皇寺財閥の者です。お迎えに上がらせて貰いました」
扉を開くとサングラスをかけた真っ黒のスーツを着込んだ男がいた。
促されるがままに真理と一緒に男に着いて行く。
「お乗り下さい」
(……扱いが丁寧すぎるな。たかが一執事になる者に対してここまで優遇するか?)
車に乗り込み眠たくなった真理を膝で寝かせながらそんな事を考える。
「なぁ、一つ聞きたい事があるんだが」
「なんでしょう?」
恭介は切り出した。男は問う。
「俺はこのまますんなり執事をやらされるのか?それとも……」
「察しがいいですね。貴方には龍皇寺家専用の執事育成学校に通って貰います」
「は?」
「貴方が仕える方は龍皇寺財閥の四女、龍皇寺 渚です。渚お嬢様は、執事をつけるのであればお暇になる夕方から夜まででいいとのことなので……つまり朝から昼までは執事としてのレベルを上げて頂きます」
「……っ、あのアマはめやがったな」
恭介は悪態をつくも真理の頭を撫でる。
「それで、いつから俺は執事の学校に行くんだ?」
「明日からです」
「あぁ、明日ねぇ、、はぁ!?明日!?」
「はい。明日からです。荷物や妹様の事はこちらでやりますので心配せずに明日から執事がなんたるかを学んで下さい」
「はぁ……。なんでもかんでも無茶苦茶だな」
「それが龍皇寺家でございます」
「るせぇ!」
最初のコメントを投稿しよう!