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「えっ!あー……なんだっけ?」
てへっとごまかすお嬢様。舌を出す仕種に呆れながら恭介は口を開く。
「用無いなら出てけよ、指の間から見てるの分かってんぞ?」
「ご、ごめん。べ、別に魅力的とか思ってないんだから!」
明らかに動揺しながら、赤く染めた頬を晒し、怒鳴るお嬢様。
「はいはい。どうせ魅力なんかねえよ、こんな傷だらけの体なんか」
軽くあしらう恭介。本心はそんな事全く思っていない。何故なら顔や体には自信がある生粋のナルシストだからだ。
そんな恭介の反応にお嬢様は顔を俯けボソボソと呟く。
「そんな事………ないわよ」
「ん?なんだ?」
「べ、別に何でもないわよ!」
言い張るお嬢様の顔は更に赤さを増している。
「そうか?」
意地悪な笑みを見せる恭介。本当は聞こえていたのだ。
「あっ、お、思い出したわ!」
ごまかす様に突然話を振るお嬢様。
「俺への用をか?」
「うん」
「そうか、それで結局なんだ?」
「えと……」
(昨日の事でお礼言いたいんだけど、、)
いざ、言おうとすると緊張して言葉が出ず、口をぱくぱくさせるお嬢様。
「どうした?金魚の真似か?」
「うー……。あり、あっありが…………」
お嬢様が吃り沈黙が続く。
「ど……」
「ど?」
「土、日は私に尽くしなさい!」
「……へいへい」
(言えたー……って!違うわよ!?)
二人の中に絆というものと主従関係が生まれた日であった。
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