砂漠の中

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水平線の向こうまで続く砂漠の中に一人の少年が倒れていた。 「おーい、おーい。」 微かに聞こえる声。 「おーい。起きな。少年。起きな。」 少年は目を開けた。 そこに在るのは今まで見たことも無いほど遠くまで続く砂漠と帽子をかぶった男。 「少年?大丈夫か?こんなところで何をしているんだ?」 少年は分からなかった。 なぜここに在るのか? 「分かりません…」 少年は自分で気付かないうちにそう言った。 「…そうか。わからないか。ならばいい。」 少年は本当に何も分からなかった。 自分がダレなのかも。 ここはドコなのかも。 ドウシテここにいるのかも。 そうまるでこの空っぽの砂漠のように。 「あの、…僕はどうすれば…」 「そんなことはわからないよ。誰にも。」 そうポツリと言って帽子の男は東を見た。 「…砂嵐が来るようだ。 少年、さようならだ。ハハハ、ハハハ。」 笑いながら帽子の男は砂嵐の中に消えた。 少年はどこに向かうのか分かりもせずに歩きだしていた。 いつしか砂嵐は消え、変わらず真上にある太陽が照りつける。 少年は薄れていく意識の中で、砂のこすれあう乾いた悲しい音を聞いた。 少年は、また眠りについた。
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