1 雨と白いタオルケットと君

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この雨さえ上がらなければ、 あの家さえ完全に壊れたなら、 あたしはあたしとずっと一緒でしょう。 人肌に温められた牛乳に、舌鼓を打つあたし。 あなたは少し離れた場所で、あたしの今日の寝床をこしらえる。 敷かれた真っ白なタオルは、今あたしの体を包むものに等しく、どちらからも淡い花の匂いがしている。 牛乳とタオルとあなたの手、全部白くて。 そうか、あたしの好きな色を今思い出した。 眠くなったあたしがあくびをすれば、あなたはくすりと笑って、あたしのおでこに触れる。 その指先が奏でるピアノが好きだ、と伝えたことは一度だってないけれど。 堪らなくなって指先に舌を這わせると、あなたは少し驚くけどやはり受け入れてくれる。 「もう寝ろ。」 そっと立ち上がったあなたの足に擦り寄って、「まだ寝たくない。」 わがままなあたし、ごめんね。
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