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僕が口を開くと弱々しい口ぶりで僕を呼んだ
好きでたまらないよ、沢田
「一緒にいたら、沢田を傷つけてしまう」
だってわからない
いくら好きでも、愛し方なんて知らない
独占欲が強い僕はすぐに嫉妬する
君の友人も
そう、君自身まで僕は…
「構いません」
彼はさっきとは違う強い言葉を言った
僕の目を見て、真っ直ぐな曇りのないその瞳で
「だって、それが雲雀さんの愛の形なら、俺はそれでも」
「嫌だよ、僕は沢田に触れる資格なんてない」
傷つけたくて君に傷つけるわけがない
でも僕には君の望み通り、君を愛せる自信がない
触れたい、傍にいてあげたい
「どうして僕は僕で生まれてしまったんだろう」
その台詞を吐いた瞬間、両頬に痛みを感じた
沢田が僕の頬を思い切り叩いたのだ
「さわっ…」
「貴方が貴方じゃなかったら、俺は貴方に会えないまま、雲雀さんを好きじゃないまま生きてしまうじゃないですか…!」
そんなの、嫌です なんて弱々しく言う
気付くと僕は沢田を強く抱きしめていた
「沢田、好きだよ沢田」
「雲雀さ、」
「綱、吉…!」
より一層強く抱きしめた小さな体は、僕を見上げ笑っていた
「名前、覚えててくれたんですね…」
「当たり前でしょ、綱吉」
紅く染まった綺麗な空は、僕らの恋の始まりの合図だった
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