シンクロの過去 選ぶべき未来

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
人間社会において色恋沙汰というものはいつの時代もそれだけで男女間に致命的な問題を引き起こす。 どこかの歌詞に唄われるようにあちらこちらで溢れ返る。 それは時に甘い香りを放つ百合のように高貴で美しく、時に獰猛で狡猾、そして狂気に満ちたハイエナを思わせる。 誰もが惑わされぬよう慎重に、必死にしがみ付いているのであろうが、所詮、他人同士。解りあうことなど到底出来ないのだ。 現代には「別れさせ屋」などという商売がある。 文字通り男女の仲を円満に引き裂く、と言う商売である。 依頼人の多くはパートナーに浮気や不貞行為をされた人間だ。「浮気相手と縁を切らせたい」「自分の元へ戻って来てほしい」などの理由が殆どだ。 しかし、秋と雅の請け負っている仕事はこれとは少しばかり違う。 彼らの扱う依頼は「報復」。 文字通り依頼人に代わり指定された人物への報復を行うことだ。依頼人は復縁を望んではいない。完全なる復讐を望んでいるのだ。 依頼内容に関してある程度指定は出来る。 「会社を辞めさせたい」「悪い噂を広めたい」。 内容は懲らしめる程度の生易しいものから、社会的地位、名誉、人徳全てを陥れる破壊的なものまで様々だ。 そして、今回の依頼は、 「全てを失わせること」 _
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!