《お嬢さんいらっしゃ~い》

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今井 「今時そんな猫いませんよ」 鶴見 「自分が言い出したんじゃねーか」 今井 「私が追い掛けたのは、恨めしそうに指をくわえた野良猫をくわえた裏のお爺ちゃんです」 鶴見 「そっちの方がいない」 今井 「いいんですよ、そんな事は。それより私の携帯電話」 リサ 「だったら電話かけたら? 私ので。(ケータイを差し出す)」 今井 「ダメですよ。今電話しても私が出られません」 リサ 「別に出なくてもいいの」 今井 「まさか、着信拒否を決め込めと仰るんですか?」 鶴見 「そうじゃなくて」 今井 「どういう事ですか?」 リサ 「だから、着信音が聞こえたら、どこにあるか見当がつくし、拾った人がでるかも知れないし」 今井 「なーるほど。朝日奈さん、天才」 鶴見 「常識だろ」 リサ 「(ケータイを差し出し)はい」 今井 「(受け取り、かけようとするが)……」 鶴見 「どうした?」 リサ 「ひょっとして、自分の電話番号知らない、とか?」 今井 「ご名答」 リサ 「ありえない」 今井 「しょうがないですよ。だって、普段自分に電話しないですから」 リサと鶴見、哀れみながら今井を見る。 今井 「何ですか、蔑む様な目で見ないで下さい」 鶴見 「ケータイ持つ仕方無し」 今井 「もういいです! 一人で探しますから!」 今井、管理人室に退場。 リサ 「何だろう、この切なさは……」
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