《お嬢さんいらっしゃ~い》

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リサ 「管理人さん、そんな格好して、手品の練習?」 今井 「違いますよ。これからお客さんが来るんです。それで、正装したんです」 リサ 「……これが管理人さんの正装なの?」 今井 「いけませんか?」 リサ 「ううん」 鶴見 「お客さんって誰?」 今井 「実は……(照れくさい)フィアンセです」 リサ 「えーっ! 管理人さんにそんな人がいたの!」 今井 「えぇ、まぁ、いたんです」 リサ 「で、どんな人?」 今井 「そう慌てないで下さい。後で紹介しますから」 リサ 「ちょっとくらい教えてよ。いくつの人?」 今井 「二二歳です。優しくて素朴で、控えめなタイプですね。まぁ、至って普通のOLさんですよ」 鶴見 「(何か思い出し)あっ」 リサ 「(鶴見に)どうしたの?」 鶴見 「ん? 別にどうもしない」 リサ 「(今井に)で、どこで知り合ったの?」 今井 「それがですねぇ」 鶴見 「(今井に)そんな事より、行かなくていいの?」 今井 「あ、そうでした」 リサ 「どこにいくの?」 鶴見 「駅まで彼女を迎えに行くんだよね、管理人さん」 今井 「はい……あれ? 鶴見さん、よくご存知で」 鶴見 「え? (今井と目を合わせずに)だって、管理人さんがそう言ってたから」 今井 「言いましたっけ?」 鶴見 「そんな事はいいから、早く彼女を迎えに行きなよ」 今井 「はい、では、行って参ります!」 リサ 「行ってらっしゃ~い」 今井、玄関から退場。
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