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第2話「盗賊団『形無きもの』」
「今夜はいよいよ100回目の獲物ですよ」
「へい、姉貴!」
――私は盗賊団「形無きもの」の次期頭目。
名はテシア。……そう、私は女。
でも、この盗賊団の頭目が代々受け継いできた
この能力が私にはある。そして、これは私が決めた道。
「コラセスの野郎ですが『帝国警備対特別能力部隊』をつけたらしいですぜ」
「……!!」
帝国警備対特別能力部隊、通称「鳳凰隊」
現総統の名からついた名前ですが……強い。
帝国と言ってもまだまだ発展途上のこの国が
外部の国から教われない理由。それが「鳳凰隊」。
彼らはほぼ全員が多対一を得意とする能力者の集まり。
その中でも二人、桁外れがいる。
「総統の鳳凰はどこに?」
「いえ、鳳凰は警備にはつかないそうです」
とりあえずは一安心。しかし……
「白い髪で黒服の男は?」
「えと、宝石の部屋です」
「……そうですか」
白髪に黒い服。
鳳凰の唯一の弟子にして入隊と一週間で
中佐までの階級を進んだ。確か名前は「白鎖」
「姉貴、その野郎がどうしたんですか?」
「気をつけてください、その人は鳳凰唯一の弟子の方です」
「そう、不安がる必要も無いでしょう?」
「ヴァードット……」
「その男が噂通りだとしても、私とあなたの二人でなら勝てましょう」
「……そう、ですよね。」
そう、私は次期頭目で今回で100回目。しっかりしないと。
「ふん、やはり所詮は小娘か……」
誰もいなくなった洞窟でヴァードットは一人笑みを浮かべていた。
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