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今までとは比べ物にならない光が部屋を支配する。
「これは……!!」
「正義の戒めを、その光の鎖に変えて」
「ぐ、くそっ!!」
男が攻撃しようとするが光で目が眩んでいるのだろう、こちらに武器を向けることもできない。
「『封縛殺・運命の鎖錠』」
部屋に充満していた光すべてが鎖となって二人を束縛した。
そして一層強大な光を放つと……鎖は消えた。
流石に膝をつく。能力を少し使いすぎで頭がくらくらする。
「ふん、失敗のようだな」
自分の手足に鎖が無いことを確認すると男はせせら笑った。
「愚者よ、切り裂かれ物言えぬ塵となれ 『斬撃・五月雨の血』」
……黒い刃は、現れなかった。
「無駄だ……もう、お前らに能力は使えない」
――さっきのが俺の上級技、他者の能力使用を封印する光の鎖。
「まずいです……引き上げます」
「いえ……あなただけは次期頭目の座のために、死ね」
青竜刀で少女に切りかかる男。少女は目を丸くしていた。
「させるか、バカ」
男の体から光の鎖が現れると男の体を束縛した。
「ぐ、おのれ」
「さて……と」
まだ、仲間……と思っていた奴の行動についていけない少女の手を軽くとった。
「あ……」
「盗賊団『形無きもの』次期頭目『テシア』……『帝国警備対特別能力部隊』の名の元に身柄を拘束させてもらう」
こうして、一夜の盗賊騒ぎは幕を閉じた。あー、もうだるい。
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