prologue 2. ハルの話

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
彼女の名は、ハルという。産まれながらに声を持たなかった。故に兄姉は彼女を労り、親は慈しみ育てた。 彼女はこの世界におけるヒエラルキーの頂点である民族に属し、世界の全てを手にすることができた。 己の喉を震わす、意味を持った空気の流れ以外の全てを。 本当に必要なものは、望んでも手にすることはできない。 ---それが全てだと知っていた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!