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3月も半ばが過ぎた頃だった。
いつもの居酒屋で軽く摘まみながらビールを二杯飲み、
勘定を済ませて外にでる。
そろそろ、桜も咲く頃でも夜は冷える。
たまには、カラオケでも歌って帰るかなんて、上機嫌で夜道を歩いてるこの男、
鈴木克巳、歳は37で職業は工事作業員、三年前に離婚をしてから気ままな一人暮らしをしている。
「確か…此処、前に来た事あるよな…。」
スナック〝純〟の看板の前でそう考えていた時、ふとドアが開いた。
「ハッ、いらっしゃいませ」 誰も居ないと思って開けた所に、人が居たので少しびっくりしたらしいが、情景反射で言葉が直ぐにでた。
克巳は照れながら「混んでる?」
と、聞いてみた。
そのホステスはニッコリ微笑んで「大丈夫です。どうぞ中へ」と、克巳の手を握り、店の中に入って行った。
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