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「かっちゃん、このお店よく来るんですか?」
桜が、聞いた。
「たまに、かな?」
克巳は、ビールを飲みながら答えた。
「そうなの、良かった。私ね、このお店で働いてまだ1週間しかたってないんだよね。」
「だから、かっちゃんみたいに、常連さんじゃない人が来ると嬉しいんだ。」
「いい、男だしね」っと、たぶんマニアル通りなのだろうけど、
客としては、心地よい接客であった。
第一印象は、特に普通の女性に見えた。
それから、自己紹介らしき会話をして、何杯かビールを飲んだ。
「そろそろ歌わないの?」
桜が、カラオケを促した。
「じゃあ、歌っちゃうかい」
超ご機嫌になった克巳がデンモクを手にした。
「桜ちゃん、どんなの好き?」
ニコッと笑いながら桜が、
「オレンジレンジの花がいい」
克巳は苦笑した。
「俺がオレンジレンジは無くない?」
桜が、
「じゃあ、次に来るまでに練習してきてねっ」
「だから、無理だって」
「お願い」
「わかったよ」
すっかり、克巳は桜に丸め込まれていた。
「しょうがないから、好きなの歌っていいよ」
いつの間にか桜が、克巳の横に座って寄りかかって言った。
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