荒野の人さらい…?

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この汽車は水属性の水晶をエネルギー源として、水蒸気を排出して動いている。 前大戦の影響で、深刻な程ダメージを受けてしまったこの星にこれ以上の負担をかけないように石炭や石油などの化石燃料と呼ばれていたエネルギーの使用は禁止されている。 その代わりに、水晶エネルギーと呼ばれている物を使って生活を支えている。 「まぁそのおかげで俺の頬は軽い火傷を負ってしまったが…」 その水晶にも色々な属性があり、このような汽車には専ら水属性のが使用されている。 もっと高エネルギーの炎属性や雷属性があるが取り扱いが少し危険なために安全性の高い水属性のが使われているわけだ。 「ふぅ…この指輪にも、その水晶が使われている…まぁ姉貴からの誕生日プレゼントだけどよ…」 俺は車両の後ろの縁に腰を下ろして、両足をブラブラ外に出しながら風を気持ちよく浴びていた。 左手の中指にはめている透明な水晶が装飾されている指輪を覗いてみる。 これは、ついこの間の19の誕生日に姉貴から賜った物だ。 属性は無いが、不純物が少なく純度の高い水晶だから、市場ではなかなかの価格で取り引きされているらしい。 「御守りかぁ…」 俺が呟いた瞬間、周りに広がっていた荒野の景色が、いきなり緑豊かな森に囲まれた。
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