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「あっちぃ~……」
…現在俺はこのだだっ広い、直射日光がこれでもかと言わんばかりに降り注ぐ荒野をひたすら歩いていた。
「…チ!…あのジジィめ…今度会ったら覚えとけよ…」
両手を力無くブラブラと下げながら、恨めしそうに復讐を口にする。
時々吹く乾燥した風が、上に羽織っているコートに当たり音をたてる。
一時間程前
「オイ!!次の列車が来るまで二時間もあんだよ!どんだけ本数少ねぇんだ!!」
見た感じ七十過ぎ…そろそろ棺桶に片足を突っ込もうとしているジジィの駅長に、俺は文句を言っていた。
「それになんだ!!この如何にも廃れた駅は!!売店すらねぇし!しかもォ!!」
俺は辺りをもう一度見回してから、やはり行き着いた答えに落胆しながら続ける。
「…なんで俺以外にホームはおろか、駅周辺にも人がいねぇんだよ…」
俺が一通り、ありったけの想いを乗せた文句を浴びせ終わる。
すると、俺の言葉の槍のダメージを全く受けずにケロッとしたままジジィが口を開く。
「お客さん~。ここは、皇王国最南端の駅じゃぞ…それに、周りには民家も無い…仕方ないじゃろう?」
確かに、この駅は周りには民家どころか建物すら存在しない…ただ、船が着けられるような海岸が近くにあるだけ…。
完全孤立の駅だった。
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