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「うわっ!?すげぇな、この代わり様…さっきまでのクソ暑い荒野が夢みたいだな」
あたりを少しだけ見回してから、上半身をゆっくり倒していき仰向けになる。
枝と枝の間から、太陽の眩しい光が所々差し込んでくる。
俺は目を瞑って、さっきまでの暑さとは違う清々しい春のような気候を噛み締める。
…この気候の差も、前大戦の影響である。
星を循環して、各地それぞれの気候を作り出していた『星のマナ』が大戦の影響を受け、正常に循環しなくなったためだ。
だから、荒野が続いていたと思ったらいきなり森林に変わるという、異常な光景を作ってしまった。
それは、この皇王国スティアスだけじゃなく世界規模の変化だ。
「それでも、まだこんな場所も残ってて良かった…あのままじゃあ俺干からびてたからなぁ」
なんて上機嫌でそんな事を言っていると…
「うわっ!!なんだ!!」
目を瞑って、明るい光だけを瞼に受けていた筈が、急に真っ暗になった。
突然の事に驚いて目を開く。
すると、俺のすぐ目の前を石で出来た天井みたいなのがある。
ただ、汽車が速い速度で移動しているため触れた瞬間…痛い目を見るのは分かりきっている。
俺は、体を硬直させたままジッとしていた。
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