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「あっちぃ~…」
下を向きながら、線路のレールとレールの間を、気だるい足取りで歩いていく。
レールの下から所々に、険しい荒野の中を懸命に生き抜こうとしている少し黄色を帯びた雑草達が目に飛び込んでくる。
その雑草達をちらほら見ながら、目的地へと向かう。
ふと…怒りが込み上げてきた。
「…あァーーーーー!!!なんで俺がこんな面倒くさい事しなきゃなんねぇんだよ!!」
大声で叫ぶ。
宛先は、今頃庭園で優雅に紅茶でも飲みながら書類やら何やらに目を通してるアイツに向けて。
「姉貴め…なんでわざわざ俺を調査になんてやったんだ。もっと下っ端の奴らにやらせればよかったのによ…」
拗ねた口調でボヤく。
…なんか姉貴に恨まれるような事でもしたのか…俺?
なんて、当然のごとく思い当たる節も無い俺は、諦めてひたすら歩く。
…変わり映えのしない景色に嫌気が差してきた俺は、何も考えないようにする。
「…………………」
…………………
「…あァーーーーーッ!!!!ムリ!!ヒマ!!なんか暇つぶしの出来る面白いイベントでも起きろーーーッ!!!」
やけくそ気味に大声で叫ぶ。
この言葉が、まるで何かの魔法を発動させてしまったかのように…
「ちょっと!!離してください!!!」
左の方から女の子の声が聞こえた。
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