真夜中の非通知電話

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ある日、彼と話していたとき、彼はせつなそうに言った。 「迷惑かなあ」 私は、しまった、と思った。 私の中に慎重さが消えていた。 彼はどんな痛みを持っているのか分からないのに、理解しないままに、私も痛みを与える一人になってしまったかもしれない。 はげますつもりだったのに。 何を言ってしまったのかも分からない。 だけど、私は彼の痛みを分かってあげられなかった。 私自体、痛みを知らない人間だからか。 でも、所詮知らない人…まあいいか、と思い、それ以降彼からも電話では話していない。
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