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「僕が生まれてきた理由がさ、骸君に逢うためだったら、いいと思わない?」
「その為に生まれてきたって信じたいんだ。じゃなきゃさ…」
「こんなくだらない世界に、価値なんてないからね」
「骸君に逢うためにこのくだらない世界に生まれてきた。そう考えればさ、まだ好きでいられるんだ。この世界が」
「でももうこの世界は用済みだから…」
「二人で新しい世界に行こう?そこで僕らはアダムとイヴになるんだ」
「…知恵の実を口にし、楽園を追放されるのはいったい、どちらなんでしょうね…」
「…骸君?」
「知っていますか?イヴは蛇にそそのかされ、決して口にしてはいけないと言われた知恵の実を食べてしまうのです」
「そして楽園を追放された…。人は愚かな生き物です。例え神を超えようとも、人である以上は過ちを犯す…」
「…何が言いたいの?骸君」
「私とあなたは決して交わらないという事ですよ。私が人であることを望む限り、永遠に…」
「…君なら、僕についてきてくれると思ったのにな…」
「生憎、私はこの世界も気に入っているのでね」
「あんなに酷い仕打ちをされたのに?」
「だからですよ。復讐を終えるまで、この世界には存続してもらわなければいけませんから。それに…守りたい存在もいますしね!」
「…そっか。さよなら。骸君。愛してたよ」
「私もですよ。白蘭」
「せめて、綺麗に消えてね。欠片も残さずに」
「永遠に輪廻を繰り返せ!」
白と黒。決して交わる事のない二つの色。
最後に残るのは、いったいどちらなのだろうか…。
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