序章

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真夏日。 照り付ける日差しがウンザリする程あつくるしい。 教室の窓際の席は普段なら大人気の席だが、この季節にはハズレの席になる。 不運なことに、今日の席替えでヒナタはこの席に大抜擢された。 直射日光が肌をジリジリと焼き、窓から外を見れば陽炎なんかが見えている。 紫外線攻撃を避けるためにカーテンを閉めると、他の席の奴等が「暑いから窓を開けろ」とうるさい。しかし言われたとおり窓を開ければ、カーテンがなびいて目障りな上、風が吹く度に暑い日差しの攻撃を受ける。 授業中ひたすらにカーテンと太陽の攻撃に耐えながら過ごしたヒナタは、休み時間になると逃げるようにして廊下に飛び出した。 「あ"ーー誰か助けてくれ。 この太陽を何とかしてくれ、俺ぁもう駄目だ。完敗だ!」 「え?なに、乾杯?」 ふにゃっと柔らかい笑顔のこいつは前の席の奴、龍牙。ヒナタと同じく、窓際で悩む仲間だ。名前は男前でも、チビでモー○ング娘に居そうなプリティーフェイス。そのギャップは凄まじい。 「あほか。乾杯じゃねーよ、完敗だ、完・敗!」 「書かねーとわかんねーし」 休みが終わらない事を祈りながら、くだらない事で談笑する。 すると突然、龍牙が話題を切り出した。 「そーいや」 「ん?」 「理科準備室にユーレイが出るんだって」
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