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涙は不思議と出ない
花畑に入ったとたんに、何故かピタリと止まった。
「お……さん」
もう名前すら満足に呼べない。ううん、本当の名前だって知らないの。
聞きたいことも沢山あった
言いたいことも沢山あった
一緒にやりたいことも沢山あった
もっと…もっと…もっと一緒に過ごしたかった
「お…かみさん、お………さん……、」
今、出来ることは呼び続けるだけ。撫でる手も…もう動かせない。
せめてあなたの名前は…呼び続けます
私の優しい狼さん
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