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薄暗い森の小道を走る一人の少女。頭には赤いずきんを被り、手には花の入った木の籠を持って、わき目をふらずに真っすぐに家へと続く小道を駆け抜けていく。
「遅くなっちゃった…」
お婆さまにあげる花を摘んでいたら、もう辺りは薄暗い夕方に。
この深い森には狼が出るという噂が流れており、現に何人もの住民が姿を目撃している。
陰鬱な森に凶暴な狼、これ以上に怖いことはない。
(早く帰らない……あれ?)
怖い怖いと思ってたからなのか、道の真ん中に何かが倒れているのが見える。
茶色のふさふさした毛皮を纏ったソレは…人だ。
ピクリとも動かないその人に思わず小走りで駆け寄った。
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