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「大丈夫ですか!」
俯せの狼の毛皮を来た人は小さく呻き声を上げるだけで、どうしようと焦りが募るばかり。
この辺にお医者さまなんていない。私の家はもう少しだけど、私だけでは男の人を運ぶことなんて出来ない。だからって、狼が出る森に一人で置いていく訳にはいかない。
そうだ!
「ー…うっ」
目が覚めれば赤いずきんを被った少女の膝に頭が置かれていた。
俺は確か空腹のあまりに道のど真ん中で動けなくなったはずなのに、何で俺はこの少女に膝枕をされているんだ。
「気が付きましたか?」
栗毛の青い瞳をした少女が心底ホッとした表情で聞く。
「腹が減って…倒れてただけだ…ありがとな」
俺はそう早口で言いながら、ゆっくりと起き上がった。
まだ空腹でフラフラするが一刻も早く立ち去りたかったからだ。
俺は嫌われモノの狼だから…流れ者は何処に行っても駄目なんだ
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