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「だ、だったら、これを食べてください!」
目の前に差し出された木の籠の中にはワインとパンが数個、そして綺麗な花に目がいった。
「良いのか?」
俺はよっぽど物干しそうな顔をしている自信がある。疑問系で聞いているが、手はすでに籠を掴みかけている。
「どうぞ」
ふわりと花のように笑う少女を見て、どちらが大人か分からない。
「すまん!」
がつがつとみっともなく食べている最中、呆れることなく少女は色々な話をしてくれた。
父さんが事故で死んでしまったこと。
ずきんを作ってくれた母さんが最近は病気で寝込んでいること。
森の奥に住んでいる婆さんの家からお使い帰りなんだとのこと。
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