1176人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
「早く帰らないと母さんが大変だろ!俺のせいでこんなに時間を食っちまって!」
「倒れていた人を無視したことのほうがお母さまに怒られます。それより、それだけで足りますか?」
だから何でそんなに優しいんだ。
まだ俺を心配する少女にじわりと涙が浮かんでしまった。
久しぶりに優しさに触れて、少女が言ったように空腹にも関わらず、何かが満たされていく。
「母さんの家まで送る。もう暗いし、えっと…お礼だ」
俺は心底不器用で乱暴な奴らしい。
ぶっきらぼうに言い放ってしまったことに後悔したものの、それを言い直すことも出来やしない。
「ありがとうございます!」
だけど少女は笑って俺を受け入れてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!