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「はぁ~」
音楽室へとぼとぼと足を進めている。さっき桜乃にぶたれた頬が心無しか痛い。
栞さんとはあれから二、三度言葉を交わしてその場を後にした。
「………蓮水さん。」
音楽室の扉にもたれかかり何だか浮かない表情をしている蓮水さんがいる。
「……あ!!…友弥くん……」
どうしたんだろう。僕を見るや否や笑顔でこっちに向かってきた。
「遅いよ!友弥くん…」
「ごめん……」と僕は呟く事しか出来なかった。
「何だか暗いけど……何かあったの?」
鋭いな。これは女の勘ってやつか?
そんな事よりも蓮水さんが気になる。何か僕に隠してる気がした。
「何もないよ……ただちょっと疲れただけ……それより蓮水さんこそどうし「なんでもないよ!!」」
…………え!?
僕が何を質問するのか察したのか。蓮水さんは大きな声でそれを制した。
物静かな校舎にその声は大きく響いたと思う。
「…グスン……ごめんね。ほんとになんでもないから………」
そこまで言うのなら今日は追及しない方がいいだろう。
涙を流す蓮水さんにそっとハンカチを差し出した。
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