プロローグ~雨上がりの午後と虹~

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ゴーンゴーン 「…………はい。そこまで、解答用紙は後ろの席の人が回収してください」 音割れのチャイムと共に夏休みの運命が左右される五日間にも及ぶ期末テストもようやく終わりを迎えた。 解答用紙を回収した教師はそそくさと退室して行くと教室内は先ほど行われた数学Aのテストの話題でガヤガヤしている。 いつもならその話題に入る僕だが今日は入らない。……否、入りたくない。不得意な教科について語る馬鹿はいない、いたら見てみたいものである。僕はホームルームが始まるまで朝から降っている雨と曇天の空を見ていた。 「………まだ雨が降ってるな。帰る頃には上がってくれよ」 そんな願望が叶うはずもない。何故なら今の時期は梅雨だから。 「ねぇ……春日くん」 僕の視線とは逆の方から聞き慣れた声が耳に入る。……声の主が誰だかすぐにわかる。ていうよりわからない方がおかしい。 「どうした由佳子?」 いつもなら一回は冗談で無視する僕だが今日は無視はしない。何故……って答えは簡単。今日の数学Aのテストについて早く忘れたいからである。いつもなら挙動る由佳子なのだが今日はそうはいかないようだ。 「どうした?…じゃないよ春日くん。もう先生が来てるよ」 そう言われた僕は教壇を見ると担任の上田は眉間にしわを寄せてダークな笑みを浮かべていた。当然周りはクスクスと笑っている。 これは………ヤバイな……連行決定だ。そう心の中で確信した。
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