黒猫

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あの猫どこに言っちゃったのかな? 私は猫の事が諦めきれず、玄関の前まで小走りで向かった。 玄関には黒いスーツに黒いサングラスをかけた男が2人、門の両脇をしっか固めていた。 以前私がこっそり屋敷を抜け出してから、よりいっそう警備が厳しくなったのだ。 やっぱりもうここからは脱走できなさそう…。 私が諦めて屋敷の中に戻ろうとしたとき、 『にゃあ~、にゃあ~』 さっきの黒猫だ! まだこの近くにいる。 そう思った私は悪戯を思い付いた子供のような笑顔を浮かべる。 胸のワクワクが止まらない。 私の今日の予定は… 『婚約発表会』 まぁ、いいか。 どのみち婚約させられるなら、ちょっとぐらい我が儘聞いてよね。 私は迷わず先ほどの大きな桜の木のあるところまで走った。 私は服が汚れる事なんて気にせず、木によじ登る。 「よっ…いしょ!!」 木の上に登るのって案外簡単ね! 私はすぐに太い枝に仁王立ちした。  
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