185人が本棚に入れています
本棚に追加
あの猫どこに言っちゃったのかな?
私は猫の事が諦めきれず、玄関の前まで小走りで向かった。
玄関には黒いスーツに黒いサングラスをかけた男が2人、門の両脇をしっか固めていた。
以前私がこっそり屋敷を抜け出してから、よりいっそう警備が厳しくなったのだ。
やっぱりもうここからは脱走できなさそう…。
私が諦めて屋敷の中に戻ろうとしたとき、
『にゃあ~、にゃあ~』
さっきの黒猫だ!
まだこの近くにいる。
そう思った私は悪戯を思い付いた子供のような笑顔を浮かべる。
胸のワクワクが止まらない。
私の今日の予定は…
『婚約発表会』
まぁ、いいか。
どのみち婚約させられるなら、ちょっとぐらい我が儘聞いてよね。
私は迷わず先ほどの大きな桜の木のあるところまで走った。
私は服が汚れる事なんて気にせず、木によじ登る。
「よっ…いしょ!!」
木の上に登るのって案外簡単ね!
私はすぐに太い枝に仁王立ちした。
最初のコメントを投稿しよう!