∮黒猫∮自由な空

黒猫

「ですが…旦那様から空様のお世話をと仰せつかって…」

はぁ…。

いつもいつも、同じ事ばかり。

「私はもう子供じゃないわ。自分の事は自分でできるの…」

私は青山の言葉を遮り、今日初めて青山を見た。

「自分でしたいの」

数秒間、青山と視線をぶつけ合う。

すると私の切実な思いが伝わったのか青山は諦めたように私から視線を外して

「かしこまりました。では、９時に下のガレージにてお待ちしております…」

と言って私に一礼し、部屋を出ていった。

パタンと扉を閉める音が部屋に響いた。

私の部屋は１人部屋にしては充分すぎる大きさで、３人が１度に寝ることができそうなくらい大きなベットがある。

部屋の真ん中には黒く輝くグランドピアノ。

それ以外は特に目立った家具はおいてない。

と言うより置かせてもらえないだけ…。

そんな嫌な事を思い出したくなかった私は直ぐにベットを離れ、白いウィンドウ式のクローゼットを開ける。