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そこには昨日青山が用意したであろう、薄いピンクのワンピースが掛かってあった。
そのワンピースは膝下まであり、胸元には大きな赤いリボンが付いていて、可憐な少女を思わせる。
私は渋い顔をしながら、しかし迷うことなくそれを手にする。
こんなのが着たいわけじゃないのに…。
私は鏡の前に立ち、全身を映す。
色素が薄い髪の毛特有の茶色がかった長い髪。
日本人特有のこげ茶の瞳。
少し低めの鼻に綺麗な桜色の唇。
背は少し低いが、そのせいで女の子らしさが強調されているようだ。
私は鏡に映る自分に顔を歪める。
ひらひらした服を指でつまんでみる。
鏡の中に無表情な顔をして映る自分。
…偽物みたいだ。
私は直ぐに鏡から離れ、自分の部屋を後にした。
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「そうなんですって。ついにあの空様もご結婚よ!!」
「空様の晴れ姿はさぞ美しいんでしょうねぇ」
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