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そして総司と同じように空を見上げてみた。
痛い…。
轟々と降り続く雨に顔を打たれて、とても目を開けていられなかった。
それでも私は顔をしかめたまま空を見つめ続けた。
いっそ私もこの雨に流されて消えていけばいいのに…。
そう思った瞬間。
「!?」
視界に茶色いものが映った。
「…なにやってるんですか?」
そこには茶色の古ぼけた傘を私に傾けながらニッコリ微笑む総司がいた。
「…別に…」
慌てて総司から目線をそらす。
本当は追いかけて来てくれた事が嬉しかったのに、つい可愛くない反応をしてしまった。
「帰りましょう?」
それでも優しく微笑んでくる総司。
それも小さな子供をあやすみたいに。
それがなんだか無性に悔しくて…
「どうせ総司も私のこと信じてないんでしょ!?ほっといて!!」
ギロっと睨みつける。
違う…。
そんな事言いたいんじゃないの。
言葉とは裏腹に、私の心の中は悲鳴を上げる。
助けて…
って。
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