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それは突然だった。
「…え~、御乗車のみなさん。今日みなさんがた6人には私のちょっとしたゲームに付き合ってもらいます。真面目にやらないと大変なことになってしまいますので一生懸命やって下さいね」と車内にアナウンスされた。
和恵と奈央は「ふざけてんのかな」などと話し始める。
竜彦はそのまま週刊誌を読み続けている。
幸雄は何かあったのかと運転席の方へ歩いていった。
アナウンスは続く。
「あっ、勝手な行動はヤメテ下さいね。あとゲーム中にも一般常識や人としてのマナーは守って下さいね。無駄に死なれてもつまらないですし」
死ぬという言葉が使われさすがにまだ小さな亮太にも何か起こっているとわかったようだった。
怖くなって泣きだしそうな顔をしている。
竜彦も顔をあげてキョロキョロし始めた。
ちょうどその時、幸雄は運転席の前で腰をぬかしていた。
なんと運転手が乗っていなかったのだ。
「この電車にはほんとに6人ちょうどしか乗ってないのか。どういうことだ」
幸雄はよろけながらも何とか運転席のドアに手かけた。
ドアを開けようと力を入れた瞬間…
ズドーン…
運転席の方で轟音が響いた。
竜彦と奈央、和恵は運転席の方を見た。
車掌が倒れているのが見える。
ピクリともしていない。
「あ~あ、せっかく忠告してあげたのに聞かないから~。爆弾を爆発させちゃった」
またアナウンスだ。
「それではみなさん、そろそろゲームを始めますよ~」
こうして乗客の命をかけたゲームが始まった。
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