天使と悪魔

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  「楠野くん、十分後に生徒指導室に来て下さい」  雨童修水はホームルームが終わると、俺を手招きしてからそう告げた。 「授業はどうするんですか?」 「大丈夫です。他の先生方には、私から話を通してありますから」  「分かりました」と、俺が返すと、修水は薄い微笑みを浮かべながら、ゆったりとした動作で教室を出て行った。  俺は首を傾げつつ、自分の座席に戻る。 「雨童先生、何言ってたんだい?」  不思議そうに藍人が尋ねた。 「生徒指導室に来いだと」 「おー何やらかしたんだ楠野」 「ま、ことちゃんは知ってるけどね」  嘆息すると、ニヤニヤと軽薄な笑みで裕二が言い、ちびっ子の琴音が無い胸を自慢げに反らした。そうすると、本当に小学生に見えてしまう。
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