完璧な妹

2/44
13353人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
   けたたましい音が響き、一日が始まった。うっすらと瞳を開けると、窓から日が差し込んでいる。明る過ぎて身体に悪い。  とりあえず欠伸を噛み殺しながら、自己主張の強い目覚まし時計を叩く。ぴたりと止まった。こうみえても寝起きは結構いい方である。  だが、起きようとはしない。さっきのあれはいわゆる学校における予鈴みたいなもんで、すなわちまだ少し時間がある。  俺は可能な限り時間を至福のために費やしたい。遅刻ぎりぎりだって上等。しなきゃいいだけ。いや、結構したことあるけど。  それに、どうせ次の目覚まし時計には勝てっこない。 「兄さん、朝です。起きて下さい」  淡々とした声と共にドアが開く。ほら来た。 「…………」  とりあえず無言で若干の抵抗を試みてみる。俺負けず嫌いな性格ですから。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!