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「…………はい?」
「間抜け顔してないで、兄さんも今日は早く寝て下さい。明日は何が起きるのか分からないんですから」
もう一度前を向くと、姫花はリビングのドアを閉めて見えなくなった。
階段を上る音がした。
俺は何もない虚空を眺めながら呟く。
「まったく、思わせ振りな発言しやがって……」
いらぬ気をまわしてしまった。どうやって対応しようか、四苦八苦していた所なのに。そんな簡単に”好き”なんて言葉を使うからである。
それに、お前みたいなスーパーウーマンでもない限り、そうそうハンプニングなんて起こったりしない。俺みたいな普通の奴は、一生かけても巡り会えないだろう。
少なくともこの時は、俺はそう思っていた。
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