完璧な妹

44/44
13353人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
  「…………はい?」 「間抜け顔してないで、兄さんも今日は早く寝て下さい。明日は何が起きるのか分からないんですから」  もう一度前を向くと、姫花はリビングのドアを閉めて見えなくなった。  階段を上る音がした。  俺は何もない虚空を眺めながら呟く。 「まったく、思わせ振りな発言しやがって……」  いらぬ気をまわしてしまった。どうやって対応しようか、四苦八苦していた所なのに。そんな簡単に”好き”なんて言葉を使うからである。  それに、お前みたいなスーパーウーマンでもない限り、そうそうハンプニングなんて起こったりしない。俺みたいな普通の奴は、一生かけても巡り会えないだろう。  少なくともこの時は、俺はそう思っていた。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!