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――と、さっきまでは半ば諦めていた。
しかしたまには例外も、イレギュラーも起こるようである。
姫花の横に、女の子が立っていた。
「初めまして。ひめのクラスメートの倉敷舞子です!」
ア然とする俺を前に、こちらの耳が潰れるぐらいはきはきと、彼女はそう言った。
何がそこまで嬉しいのか、うっかり火傷しそうな明るい笑顔である。
「ああ、えーと……よろしく倉敷さん」
「やだ、倉敷さんなんて他人行儀な呼び方じゃなくていいですよ。舞子でいいです。できたら『ちゃん』づけで」
「じゃあ、よろしく舞子ちゃん」
「はい! よろしくお願いしますお兄さん」
俺の右手をがっちりと掴んで、ぶんぶんと上下に振る。反動で肩が抜けそうなぐらいに。なかなか激しいコミュニケーションである。
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