突然

5/20
前へ
/232ページ
次へ
咲太君に家付近まで送ってもらった。 私は店長の誕生日会に行こうと思い、電話をしたが、もう夜遅いからいいよ、と言われ、と~すけに電話をした。 『おかえり。』 と~すけは家の前で待っていた。 『お皿返しに来ただけだよ。…やっぱ煙草の匂いするね。』 『ただいま、ずっと待ってたんだ?…髪、洗おうか?』 咲太君についさっき抱かれたとバレたら困るので、さりげなくお風呂に入る口実が出来て良かった。 と~すけはいつでも私に一生懸命だった。恐らく彼女にも、他の女の子にもそうだと思うが、なかなかこんなに頑張ってくれる人はいない。 彼女じゃないけれど、待っていてくれた。 彼女じゃないけれど、束縛されていた。 いや、きっと自ら束縛を望んでいた。 自由に逃げ出せばいいのに、私はと~すけの籠から飛び立つのをためらっていたのだ。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加