刻む針

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
  「………誕生日パーティーですか?」 「そう、樹の22歳のね。参加しない?」 「いい年して誕生日パーティーとか柄じゃないんだけど季結が聞かなくて……」 入学から早3か月。私は季結、樹の3人で刹那がアルバイトとして働いているファミリーレストランにいた。刹那の上がりを待ちつつ、遅めの昼食を取るため。 久しぶりに学校に出てきていた季結と樹に偶然会い昼食に誘われ、どうせなら刹那の働く姿をからかってやろうと、このファミリーレストランにやってきた。 「1人じゃ来にくいだろうから、あのチビも呼んでやろうじゃないか」 「誰がチビだって!?…何度言えば名前で呼んでくれるんっすか?………ちょっと!聞いてます?季結先輩!」 「事実なんだからいいじゃん」 「明らかに季結先輩よりはでかいっすよ!」 「当たり前じゃん。男と女なんだし…… ほらそこ座ると樹の横で不憫だから、いずみと代わってこっち座れ」 「なんで命令口調なんすか!?それに樹先輩と比べないでくださいよ!樹先輩がでかすぎるっすよ!」 「あーもーキャンキャン五月蝿い。子犬みたい」 仕事が終わり刹那が席に近づくと言い合いが始まった。これは今に始まったことではない。もう3か月も経つと周りも必然と慣れてしまっていた。  
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!