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「まずは自己紹介をしよう」
天使は咳払いをすると、ミカエルと名乗った。
炎を彷彿とさせる鮮やかな朱色の長髪。
薄い桃色の肌。
少し垂れた幼げな目にはめ込まれているのは、澄み切った金色の瞳。
純白な六枚の羽根を背負い、それに見合う真っ白なローブに実を包んだ美しい少年の姿。
「何だ貴様、キラキラしやがって、何かムカつくから死ね」
「…」
彼女の全身から放たれる嫉妬という邪念に怯えつつも、ミカエルは使命を全うする為、自分を奮い立たせた。
逃げちゃ駄目だ…
逃げちゃ駄目だ…
逃げちゃ駄目だ…!!
ミカエルは深呼吸すると、己の中のありったけの神秘性を言葉に込めながら、ルカの瞳を見つめて言った。
「私は神からの啓示を命じに地上へと降り立ったのだ」
「え、何?神からの啓示?」
「そう、今世界は最も大きな危機的状況を迎えているのだ」
「…」
「ルカよ、主はお前を“世界を救う鍵”として選びたもうた」
「…」
「慎んでその命を受けよ」
ルカは人類の理性や道徳性を全く感じさせない程に顔を歪めながら、目の前の“天使と名乗る少年”を蔑みの目で見た。
「…お前、アレか」
「え?」
「俗に言われる中二病の類いか」
「え?あ、違っ」
「それ、お前の脳内でだけ進行してる壮大なストーリーなんだろ」
「いや、だから違っ」
「その内アレだろ、邪気眼とか出てくんだろ」
「うぅ~…だから違うんだってば…」
「貴様の脳内で展開されるだけならば別に構わないが、頼むからボクをその渦中に巻き込むな。
っつかマジで居るんだこんな奴wwww
うはwwwきめぇwwww」
「ぅううぅう~…」
潮風が傷付いた心に沁みて、ミカエルは泣いた。
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