遺言

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拓哉には彼女が居た。 正確には別れたから彼女じゃない。 自分がふがいないばっかりに… 酒が入るといつもそう言って泣いてたのを覚えている。 その元彼女に生きているかのように振る舞って欲しいと言うのが彼の願いらしい。 意味がわからなかった。 なぜ死を知らせないのか理解できなかった。 なんで? オレは聞いた。 拓哉は 無駄なプライドと死んだら泣くじゃろ?だから… 息も荒くなり途切れ途切れに彼は言った。 頼む 彼は笑顔で逝った。 最後を看取ったのはオレ 何が起こったのかわからなかった。 拓哉が死んだ事を知り慌てて彼の家族が入って来た。 おじさんとおばさんは泣いていた。 後から来た彼の妹も泣いていた。 やっと何が起こったか理解しその場で崩れた。 落ち着き廊下に出た所で、拓哉の弟に話かけられた。 兄の遺言です。と
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